こんにちは。行政書士のサカイです。
現在就労ビザで日本に在留しているという方の中には、日本人のパートナーと国際結婚するのを期に日本人配偶者ビザに変更したいと考えている方も多いと思います。
そこで今回は、日本人配偶者ビザと就労ビザの違いや、日本人配偶者ビザの注意点についてご紹介していきたいと思います。
日本人配偶者ビザと就労ビザの違い
まずは早速、日本人配偶者ビザと就労ビザの違いについて解説していきます。
1:就労制限がなくなる
就労ビザから日本人配偶者ビザに変更することのメリットの1つとして、就労制限がなくなるという点が挙げられます。
一言に就労ビザと言っても様々な種類がありますが、就労ビザは概ね日本で特定の業務をすることを前提としたビザになります。
そのため、例えば介護の就労ビザで日本に在留している方は、自分の意志で勝手にプログラマーなどに転職することは出来ません。また、何らかの理由で離職してしまい、無職の期間が長くなると日本にいられなくなってしまいます。
しかし、日本人配偶者ビザの場合はそうした就労制限がないため、自由に転職すること可能です。また、独立して自分でビジネスを立ち上げることも出来ます。経済活動の幅が非常に広くなるのがメリットです。
2:永住権の申請条件が緩和される
就労ビザから日本人配偶者ビザに変更することで、日本の永住権を申請するための条件が緩和されるというのもメリットです。
通常の場合、日本の永住権を申請するためには引き続き10年間以上日本に在留する必要があります。
しかし、日本人配偶者ビザを取得していると
- 日本人の配偶者、または既に永住権を得ている者の配偶者である
- 実態のある結婚生活を3年以上行っている
- 日本に1年以上在留している
上記3つの条件をクリアしていれば日本の永住権を申請することが可能になります。
もちろん、上記の条件をクリアした上で更に審査に通らなければいけませんが、それでも10年という歳月を待たずに永住権の申請が出来るというのは大きなメリットと言えます。
日本人配偶者ビザの注意点とは?
就労ビザに比べて様々なメリットがある日本人配偶者ビザですが、注意しなくてはいけない面もあります。それは配偶者と離婚や死別した場合、在留資格を失ってしまうということです。
日本人配偶者ビザというのはあくまで「日本人の配偶者等」という在留資格です。そのため、離婚や死別をした場合は在留資格に該当しなくなってしまいますので、引き続き日本人配偶者ビザを更新して日本に在留することは出来なくなってしまいます。
離婚や死別をしたからと言っても、所持している日本人配偶者ビザの在留期限までは問題なく日本に在留することが出来ます。しかし、在留資格の該当性を失った状態で在留し続けるのは在留資格制度としては好ましくない状態なので、他のビザに変更するのがいいでしょう。
ただし、そもそも偽装結婚であるなど日本人配偶者ビザを取得した当初から違法性がある場合は取り消しの対象になるので注意が必要です。
場合によっては高度専門職ビザへの変更も有効
日本人配偶者ビザへの変更は義務ではなく任意なので、日本人の方と国際結婚をしたからと言って必ず日本人配偶者ビザに変更しなくてはいけないというわけではありません。
また、高学歴であったり収入が高いなどの優秀な外国人の方の場合は、就労ビザを高度専門職ビザに変更するという選択肢も考えられます。
高度専門職ビザになると
- 複合的な在留活動の許可
- 在留期間5年の付与
- 永住権申請の条件緩和(3年、または1年の在留で申請が可能になる)
- 配偶者の就労がしやすくなる
- 母国から親を連れてくることが可能になる
- 家事使用人の帯同が可能になる
- 入国手続きや在留手続きを優先的に処理してもらえる
など、複数のメリットがあります。
また、高度専門職ビザには段階があり、高度専門職2号ビザの場合は上記のメリットに加えて
- ほぼ全ての就労資格の活動が可能になる
- 在留期間が無期限となる
というメリットもあります。
高度専門職ビザは上記のメリットに加え、日本人配偶者ビザと違って離婚や死別に影響されません。そのため、場合によっては日本人配偶者ビザよりも有用です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は日本人配偶者ビザと就労ビザの違いについてご紹介させていただきました。
日本人配偶者ビザは就労ビザに比べて就労制限がなくなる、永住権の申請条件が緩くなるなどのメリットがあるので、国際結婚をされる方は優先して変更するのがいいでしょう。
ただし、日本人配偶者ビザは配偶者と離婚や死別をしてしまった場合在留資格に該当しなくなってしまうので、その点には注意が必要です。
また、高学歴であったり高収入な方の場合は日本人配偶者ビザよりも高度専門職ビザを取得した方が様々な面で融通が効き、便利な場合があります。自分の現在の状況をよく鑑みた上で、最適なビザを取得するようにしましょう。
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